そして彼女は微笑んだ
2001年10月6日(土)














第2章





食事を終えた彼女は、しばらく湖沿いを西に走り、国道に入った。










このあたりは渓谷や林道が多いため、テントやシュラフを積んだ
オフローダー達の姿をよく見かける。
自然に囲まれてのキャンプツーリングに憧れはあるが、
まだ、バイク歴の短い彼女にとって、それはもう少し先に
なりそうだ。
















林のあいだを抜けるといきなり光のシャワーがそそいできた。

10月の空気は冷たく、風も辛くからだに当たるが、

陽射しが真っ直ぐと照らしてくると、まわりの景色もからだも

すべて暖かくなる。

もちろん、気分も全然違う。

走ることの喜びは天候によってかなり左右されやすいことを

彼女は感じ始めていた。

 






冬の間は、人工のスキー場に来る車で賑わう交差点を過ぎ、

温泉が併設されている道の駅に彼女はバイクを入れた。










もう陽射しがかなり斜めに降り注いでいる。

眩しくて西の空を見れないほどの明るさに驚いている自分に彼女は感心した。

バイクに乗っていなかったら気づかないであろうことがたくさんあることに・・・・・。





近くに「氷穴」があることに案内板で知った彼女は、

数kmの距離をバイクで移動した。





入口に着くと巨大な穴が広がっていて、狭く急な石段を降りて行くようになっていた。















思いのほか狭くて、そして自然のままになっている内部に彼女は単純に喜んだ。

這いつくばるようにしながら奥へと進む。










前のグループが同じ格好で奥に入っていく姿に笑みがこぼれたが、自分もそうであろう事に気がつき

苦笑した。










コースとしてはあまり長くなく、あっという間ではあったけど、

ちょっとした観光気分を味わった彼女は満足して再びバイクに跨った。



国道から県道に入り、しばらく南下するとその高原は現れた。

秋の空の下、のどかで牧歌的な風景が広がっていて、

人の気配もない。










バイクのエンジンを切ると、怖いくらいの静寂さがまわりを包み込んだ。

冷たい空気もジワジワと押し寄せてくるようだ。















からだが冷えきる前に彼女はオートバイのエンジンをかけた。

普段は気にならないほどの小さな排気音が

ここでは、申し訳なく思うほど大きな音に感じる。



秋が深まりつつある高原をあとにして、ホテルの予約を入れてある町に彼女は向かった。












このツーレポはフィクションであり、登場する人物・団体名等は実在のものとは一切関係ありません。


って、一人しか登場してないし、団体名も載ってないって(笑)





裏話はこちら



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